捨てられ仮面令嬢の純真
だが食事を済ませたセレスは、極度の緊張に追い込まれていた。自室の中をうろうろと歩きまわる。
今日セレスとレオは結婚式をあげた――となると今夜は。
(だいじょうぶ。レオさまならきっと乱暴はなさらないわ。やさしく導いてくださるから落ち着いて)
式での口づけすらためらってしまうレオなのだから心配いらない。そう自分に言い聞かせるのだが、セレスの不安は消えなかった。
だってレオは、戦う男だ。力を入れたつもりなどなく抱きしめても、セレスにとっては骨が折れるほどなんてこともあるかもしれない。
これまでレオの端正な姿しか見ていないが、実は胸板が厚いし腕も太いと服の上からでもわかる。背もセレスの頭がやっと肩先を越すぐらいに高い。あんな体にのしかかられたら――と思うと身がすくんでしまった。
夫婦の寝室はいちおう別だ。間に簡単な洗面を挟んでいてドアもあるのだが、就寝の支度をすませたらレオはこちらに来るだろう。それともセレスが呼ばれるのか。
夜着に薄いガウンを羽織ったセレスは、ドアから離れたところにある椅子に倒れこんだ。動悸が激しくてもうだめだ。
――コンコン。
ノックにセレスはハッと顔を上げた。