捨てられ仮面令嬢の純真
「すまない。かっぱらいの共犯を見つけて、つい走り出してしまった」
警らの役人に窃盗犯たちを引き渡してから、レオは謝罪した。セレスはずっと待っていたのだ。
「……レオさまにお怪我がなくて安心しました」
犯人を捕縛しに行っていたのだとわかった時、セレスは崩れ落ちそうになるのを耐えた。今回レオは無傷だったが、これからだってレオが殴られたり刺されたりするかもしれないと思い当たったのだ。
騎士団にいる限りレオにそんな日が訪れないとも限らない。だが夫の身を案じる瞳にレオは小さな喜びを感じた。
「俺はわりと強いのだが、信じてくれないか?」
愛する妻にいいところを見せたくなる。それは男として自然なことだ。だがセレスは拗ねた。
「レオさまのことは信じています。でも私がお体を心配していることも、忘れないでくださいませ」
そんなことを言われてしまうとレオは妻を抱きしめたくなる。だがまだ帰宅するために歩いているところ。なんとか我慢した。
しかし今日のデート、セレスには考えさせられることばかりだった。王宮からそんなに離れていない街で、人々は貴族たちとかけ離れた暮らしをしているのだ。
大人の様子はまだ想像できた。しかし子どもが無気力に花を売り、盗みの片棒をかつぐだなんて。
衝撃を思い出したセレスは、隣を歩くレオの腕にそっと寄りかかった。