捨てられ仮面令嬢の純真
✻ ✻ ✻
今夜もレオはセレスの寝台にいた。
のどから漏れる声を恥じらって、セレスはレオの肩にかじりついてしまう。レオにふれられると、セレスはわけがわからなくなってしまうのだ。
やがて果てたレオに包まれ、セレスはぐったりしながら微笑んだ。甘えて夫に頬ずりしようとしたセレスだが、「あ」とつぶやく。
仮面がほどけてずれていた。レオの下になって手が届かないセレスに気づき、レオは顔をそらしながら腕をどかす。セレスは荒い息のままそそくさと仮面を直した。
「すみません」
「いや。暗くて見えていない、安心しろ」
「……すみません」
セレスはもういちど謝った。
レオはセレスが嫌がることを決してしない。こんな時ぐらい妻の素顔も見たいのだが、セレスの方からそうするまで強いる気はなかった。
夫の気づかいはセレスにもわかっている。レオが薄い傷跡ごときでセレスを嫌うわけないとも知っている。だが――もうずっとこうして生きてきたし、勇気が出ないのだった。
微笑んだレオは妻にそっと唇を降らせる。まぶたに、頬に。そして仮面にも。
「謝ることじゃない。セレスが安心していられるのなら、それで」
「でも……私、ずっと仮面の下に隠れているんですもの。それって情けないことじゃありませんか」
弱音を吐くセレスなど珍しい。レオに対してならそれでもいいのだと心を許しきっているのだ。ぞくりとしたレオはもう一度セレスを抱きしめ、意味をこめてささやいた。
「大丈夫。俺はもうセレスをぜんぶ知っているぞ?」
「そう……です、けど……」
恥じらうセレスにもう一度挑みかかりながら――レオは考えを巡らせた。
今夜もレオはセレスの寝台にいた。
のどから漏れる声を恥じらって、セレスはレオの肩にかじりついてしまう。レオにふれられると、セレスはわけがわからなくなってしまうのだ。
やがて果てたレオに包まれ、セレスはぐったりしながら微笑んだ。甘えて夫に頬ずりしようとしたセレスだが、「あ」とつぶやく。
仮面がほどけてずれていた。レオの下になって手が届かないセレスに気づき、レオは顔をそらしながら腕をどかす。セレスは荒い息のままそそくさと仮面を直した。
「すみません」
「いや。暗くて見えていない、安心しろ」
「……すみません」
セレスはもういちど謝った。
レオはセレスが嫌がることを決してしない。こんな時ぐらい妻の素顔も見たいのだが、セレスの方からそうするまで強いる気はなかった。
夫の気づかいはセレスにもわかっている。レオが薄い傷跡ごときでセレスを嫌うわけないとも知っている。だが――もうずっとこうして生きてきたし、勇気が出ないのだった。
微笑んだレオは妻にそっと唇を降らせる。まぶたに、頬に。そして仮面にも。
「謝ることじゃない。セレスが安心していられるのなら、それで」
「でも……私、ずっと仮面の下に隠れているんですもの。それって情けないことじゃありませんか」
弱音を吐くセレスなど珍しい。レオに対してならそれでもいいのだと心を許しきっているのだ。ぞくりとしたレオはもう一度セレスを抱きしめ、意味をこめてささやいた。
「大丈夫。俺はもうセレスをぜんぶ知っているぞ?」
「そう……です、けど……」
恥じらうセレスにもう一度挑みかかりながら――レオは考えを巡らせた。