私を拾ってくれますか?
奈垣くんから逃げてしまった日から、距離ができてしまい、目も合わないし挨拶さえもできなくなっていた。何もなかったように話しかければ良いのに、避けるように目が合わないように過ごしている。
旭はというと、私が少し早い時間に家を出ているからか、全く顔を見ないし、学校の廊下ですれ違ってもあからさまに視線を落として、私と距離を取る。奈垣くんを避け、旭には避けられ。自業自得な恋愛。
しばらく自己中になりすぎた戒めとして、頭の中を整理した。特に何も思っていない男のクラスメイトが、好きな子に振られて凹んでいたら、私は助けるだろうか。もし助けたとして、後日その子が私のことが好きだと言ってきたら、どう思うだろう。
「助けただけだし、いい迷惑か…」
奈垣くんの優しさを、勘違いしたらダメだ。自分が弱ってるだけだ。そう言い聞かせた。
また日直が回ってきたある日、ホームルームが終わり四方に散っていくクラスメイトを見送りながら、ついに私だけになった時、全ての日直仕事が終わった。
手についた黒板消しの粉を叩いてはらい、自分の机にあるカバンを取ろうと黒板の方を向いていた体を振り向かせると、奈垣くんが私の机に座って足をぶらぶらさせていた。
何で居るかな。頭の中に、奈垣くんの優しさは同情だと擦り込ませている最中なのに。