私を拾ってくれますか?
隙を与えない言葉が途切れると、私の勘違いを迷惑がっている様子で眉間に深い皺を寄せた。本音は言わない方が良かったのかな。
「勘違いじゃないと思うけど」
「え?勘違い、だよね?」
「家まで送って行った日、あいつが待ってるのが見えて。目の前で別の男がいるって分からせれば、あいつも引き下がるかなと思って」
奈垣くんの強気な優しさ。尻軽なんかじゃなかった。
「それにあれは…、見せつけたかったのもある」
理解するのに時間がかかって、10秒ほど窓の外のカラスの鳴き声が、やたら大きく響いた。
「何か言えよ」
奈垣くんがそれ以上言わなくても、耳も顔も赤くしていることで、察した。そして私まで赤面して、顔を見合わせて笑った。お互いに好きだから付き合おうとはならなかったけど、私が「ありがとう」と呟き、奈垣くんが「どういたしまして」と素っ気なく私から目を逸らしたことで、関係は1歩進んだと思う。