私を拾ってくれますか?
好きなおもちゃを取られて拗ねる幼稚園児みたいに、口を尖らせて私が頷かないのを嫌がる奈垣くん。怒っているように見えるけど、全然目が合わないし耳も真っ赤だし。嫉妬してくれているのが分かって、嬉しい。
そんな光景が面白くて、顔を覗き込んで〝ありがとっ〟と茶化してみる。
「ぶん殴るぞ?」
眉間に一気に皺を寄せて手を上げる素振りをした後、笑いながら逃げる私を背後から抱きしめるように捕まえられる。
私と奈垣くんの爽やかな笑い声が、夕陽が差し込む教室に暖かく広がった。
一頻り笑って落ち着くと、奈垣くんは私を抱きしめたまま話し出す。
「彼女になってくれる?」
「うーん…、考えとく」
「何だよそれ(笑)考えなくても答え出てるだろ」
「考えとく(笑)」
考えなくても答えはYESなんだけど、戸惑わせたかった。すぐに奈垣くんに策略がバレて、YESって言わされたけど、私と奈垣くんの間には温かい笑いが溢れた。


