からかわないでよ、千景くん。
「言ったじゃん、嫉妬するって。許さないよ、俺」
その言葉が、風よりも強く胸に吹き込んだ。
(許さないって…どういう意味?)
千景くんの目は、真っすぐで。私の心臓は、またうるさく鳴り始めた。
その瞬間—— スピーカーから音楽が流れてきた。
「みなさん、整列してください~」
マイク越しの声が、グラウンドに響く。
「じゃーね、なずな」
意地悪な笑みを浮かべながら、千景くんは行ってしまった。
その背中を見送るだけで—— 胸が、きゅっと鳴る。
千景くんに触れられた場所、全部が熱くて。手でパタパタ仰ぐ。
「…ふぅー…」
深呼吸して、心を落ち着かせようとする。
でも—— 落ち着くわけない。
千景くんの声も、笑顔も、手の感触も。ぜんぶ、まだ残ってる。