からかわないでよ、千景くん。
すると—— 笹村くんは、私の拳にコツンと自分の拳をあてて、ニカッと笑った。
「勝ってくるね~!」
そう言って、走っていった。
その背中を見ながら—— 志緒ちゃんが、メガホンで叫んだ。
「爽やかだな~!」
分かる。ほんと、爽やか。風が味方してるよ、笹村くん。
「そういや、千景に会った?私、朝からあいつのこと見てないんだけど」
志緒ちゃんが、こそっと耳打ちしてくる。
「会ったよ!開会式前に!」
「何話したの~?」
にやにやしながら、志緒ちゃんが顔を近づけてくる。
「もうっ、そんなんじゃないってばっ」
そう言いながらも—— 千景くんのことを思い出すと、顔が熱くなる。