からかわないでよ、千景くん。



その場で、うずくまる。



「……っ」



どうしよう。涙が、こぼれそう。

千景くんと一緒に走りたかった。千景くんと、手を繋ぎたかった。




「月城さん、体調悪い?」



笹村くんが、心配そうに顔を覗き込んでくる。



「みないで…」



声が震える。涙が、止まりそうにない。

私が手を繋ぎたかったのは、千景くんだけだったのに。



「大丈夫?立てる?」



笹村くんの声は優しくて、あたたかい。
笹村くんのせいじゃない。わかってる。でも、心が追いつかない。

涙を拭って、ゆっくり立ち上がる。



「ごめん、大丈夫!」



笑顔を作ったけど…さっきの千景くん、どう思ったかな。


< 142 / 277 >

この作品をシェア

pagetop