からかわないでよ、千景くん。



バチッと、千景くんと目が合った。

本日3度目のアイコンタクト……冷たく、逸らされた。

まって。違うの。
私は…千景くんに、来てほしかったのに。



「月城さん、行こう」



笹村くんが手を握ってくる。その手は、あたたかくて、強くて、迷いがなかった。

違う。こんなはずじゃなかった。
私が走りたかったのは、千景くんとだったのに。



「か、紙。私、もってない…!」



走りながら、笹村くんに言う。さっき、クラスメイトに取られちゃったから。



「俺、持ってるよ」



よかった…。よかった、けど…。


ゴールテープまで、笹村くんと走り切った。
結果は2位。
みんなが拍手してくれて、笑顔が広がる。



「やったね、月城さん!」



笹村くんの笑顔が、まぶしくて、今はちょっと憎い。


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