からかわないでよ、千景くん。
走って、3階へ続く階段を駆け上がる。
息が切れてる。足が重い。でも、心は千景くんに向かって一直線だった。
いてほしい。千景くんに、会いたい。
屋上の扉が視界に入った瞬間、焦茶の髪が風に揺れてるのが見えた。
「…千景くん」
声が自然に漏れた。
千景くんだ。本当に、いた。
息を整えながら、階段を上がる。
「千景くん」
名前を呼ぶと、千景くんが振り向いて、目を細めた。
その顔が、すき。何度見ても、胸がぎゅっとなる。
「おつかれ、なずな」
優しい声。その一言だけで、今日の疲れがふわっと溶けていく。
千景くんが少しスペースを開けてくれた。私は、そっと隣に座る。
「場所、交代しよ。落ちたら危ないし」
「落ちないよっ…!」
思わず反論すると、千景くんがクスクス笑った。
千景くんの右隣に座ると、すぐ横には階段。 それが心配だったらしい。