からかわないでよ、千景くん。
「長くなるよ…?」
そう言うと、志緒ちゃんは目を輝かせて身を乗り出してきた。
「大丈夫!1から100まで全部聞くから!」
「そんなにないよっ!」
思わず笑ってしまう。
でも、その笑いはちょっとだけ苦かった。
一度、お茶をひと口。
喉を潤して、心を落ち着ける。
「昨日、千景くんに会えたんだけどね…」
言葉にした瞬間、胸がぎゅっと締め付けられる。
あぁ、緊張する。昨日の空気、千景くんの表情、全部が鮮明に蘇る。
慎重に話そうと思った。
でも、無理だった。
心が、もう耐えられそうになかった。
「結論から言うと、千景くんの好きな人は私じゃないみたい」
そう言って、ハハッと笑ってみせた。
無理やり、口角を上げる。志緒ちゃんが心配しないように。自分が崩れないように。
大丈夫。笑えてる。…たぶん。