からかわないでよ、千景くん。
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昼休みが終わって、午後の授業が始まった。
教科書を開いて、先生の声を聞いてるはずなのに、なんだか頭に入ってこない。
急に、寒気がした。
背中がぞわってして、腕をぎゅっと抱きしめる。
(これは、本格的にやばいかも…)
頭がぼーっとして、先生の声が遠くなっていく。
目の前の文字も、なんだか霞んで見える。
(熱、出てきたのかな…)
昼休みのうちに保健室、行っとけばよかった。
そう思った瞬間だった。
「なずな、体調悪い?」
隣から、低くて静かな声が聞こえた。
「…へ?」
ぼんやり顔を上げると、千景くんが私の方を見ていた。
「大丈夫?」
その目は、いつもみたいにからかう感じじゃなくて、真剣だった。
私はふるふると首を横に振った。
正直、大丈夫じゃない。