からかわないでよ、千景くん。
どうしよう。歩けない。
千景くんに迷惑かけてるって思ったら、涙がじわっと出てきた。
「もうちょっと頑張って」
その言葉に、頷こうとしたけど、体が動かない。
次の瞬間、ふわっと体が浮いた。
…え?
あれ? 私って今、千景くんに…お姫様だっこされてるのかな?
分かんない。
頭がぼーっとしてて、現実なのか夢なのかもわからない。
「…私重くないかな…?」
ぽつりと聞いてみた。
「軽すぎるよ。ほんとは、元気なときにしたかったんだけど」
千景くん、今なんて言った…?
もう一度聞きたかったのに、なんだかすごく安心して目を閉じた。
千景くんの腕の中は、あったかくて、心地よくて。
まるで、夢の中みたいだった。