からかわないでよ、千景くん。



「く、苦しい…」



一番上まで止めるのは苦しいよ。



「だめ。また、俺じゃない男に襲われたいの?」


「いっ、いや!」


「だったら、言うこと聞いて」



黙ったまま頷く。



「このスカートも……何回折ってんの、これ?」


「きゃっ…」



私の手を引っ張って起き上がらせ、腰に手を当てて、3回折っているスカートを全て元に戻される。

ベッドの下に投げられたリボンを渡され、なんでか少し悲しい気持ちになった。



「キス、したい…」



震える声でそう言った私に、千景くんは少しだけ目を見開いた。



「何言ってんの」



呆れたように見下ろすその顔。


だって、そしたら——



「千景くんとキスしたら、いやなこと忘れられる気がするからっ…」



ぎゅっとリボンを握る手が震える。


もっと、ちゃんと私に触れて。


そう願った瞬間、千景くんはふぅっと息を吐いて、私の頭をそっと撫でた。


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