からかわないでよ、千景くん。

*

*

*



ぺちぺちと何かが、私の頬にあたっている。



「う~ん…」



ぼんやりとした意識の中で、聞こえてくる声。



「なずな。起きて」



名前を呼ばれて、ハッと目を開ける。



「…あ、起きた」



目の前には、千景くん。



「千景くん…私、寝てた?」


「ぐっすりね」



少し呆れたように笑う千景くんの顔。
気づけば、千景くんのベッドの中。

あれ、なにしてたんだっけ…?



「キスしてる途中に急に寝るから、焦った」



のそのそと起き上がると、千景くんが私の乱れた髪をそっと直してくれる。
その手つきが、優しくて、あたたかくて。
胸が、きゅっとなる。


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