からかわないでよ、千景くん。
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ぺちぺちと何かが、私の頬にあたっている。
「う~ん…」
ぼんやりとした意識の中で、聞こえてくる声。
「なずな。起きて」
名前を呼ばれて、ハッと目を開ける。
「…あ、起きた」
目の前には、千景くん。
「千景くん…私、寝てた?」
「ぐっすりね」
少し呆れたように笑う千景くんの顔。
気づけば、千景くんのベッドの中。
あれ、なにしてたんだっけ…?
「キスしてる途中に急に寝るから、焦った」
のそのそと起き上がると、千景くんが私の乱れた髪をそっと直してくれる。
その手つきが、優しくて、あたたかくて。
胸が、きゅっとなる。