からかわないでよ、千景くん。



「でも、なずなのせいだから」


「えっ、千景くんの問題じゃない!?」



千景くんが意地悪なのが問題なんだよっ!



「嫉妬してるときの顔、かわいかった」


「またそうやって、意地悪言うんだから……!」



顔が熱くなる。悔しいけど、ドキドキも止まらない。



「からかうのも、ほどほどにしてよ……千景くん」


「はは」



千景くんは、笑いながら、私の髪をくしゃっと撫でてくる。

ずるい。その手のぬくもりにまた心が揺れる。

でも—— 私だって、負けてない。
平さんに聞いた、とっておきの言葉があるんだからね。


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