からかわないでよ、千景くん。
その手つきは、思った以上に優しくて。
指先が、そっと肌に触れるたびに、心臓が跳ねる。
「私、ほんとにだめで…」
ぽつりとこぼれた言葉は、言い訳じゃなくて本音だった。
申し訳なさでいっぱいだった。
笹村くんにも、千景くんにも。
今もこうして、絆創膏を貼ってもらってる。
自分でやるつもりだったのに、結局助けられてばかり。
「笹村、スピードはそんなに出さないと思うけど、歩幅でかいでしょ」
千景くんが、膝に絆創膏を貼りながら、さらっと言った。
(え…)
「そ、そんなことないよ」
反射的に否定したけど—— ほんとは、ちょっと思ってた。
笹村くんは背が高くて、足も長くて。
私とは、歩幅が全然違う。
走ってるとき、必死に合わせてた。
でも、うまくいかなくて転んでしまった。