からかわないでよ、千景くん。



「そういや、膝治ったの?」



志緒ちゃんが、ふと聞いてきた。



「もう治ったけど、一応絆創膏貼ってるの〜」



私は、二人三脚で怪我した膝を見せる。

まだ少し赤みは残ってるけど、痛みはもうほとんどない。



「笹村のこと応援してたんだけど、怪我させるのは許せないな〜」



志緒ちゃんが、ちょっとキツめに言った。



「笹村くんのせいじゃないよっ!」



思わず、声が大きくなる。


その瞬間——



「月城さん、ほんとごめんね」



後ろから、笹村くんの声が聞こえた。

振り返ると、申し訳なさそうな顔で立っていた。


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