からかわないでよ、千景くん。



「なずな、笹村って爽やかだよね」



千景くんが、頬杖をついて私の方を見ながらそう言った。



「そうだね?」



笹村くんは、誰もが認める爽やか人間。
明るくて、優しくて、誰にでも好かれる。



「なずなは、俺と笹村どっちのほうがいい?」


「…えっと?」



言葉が詰まる。


(それは…何を比べて?)



「なずなは、一生俺のものだよ」



千景くんの声が、少し低くなった。

その言葉に、心臓が跳ねる。


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