からかわないでよ、千景くん。

*

*

*


昼休み。
私は、いつもより倍のスピードでお弁当を食べ終えた。



「ちょっと職員室行ってくるね!」



志緒ちゃんにそう言って、席を立つ。


(…ごめん、志緒ちゃん)


嘘をついたことに、少しだけ胸が痛む。
でも、それ以上に—— 千景くんの言葉が、ずっと頭から離れなかった。



「なずなは、一生俺のものだよ」



その意味を、ちゃんと聞きたかった。

千景くんがいるであろう、あの場所へ。屋上に続く階段。

今日も、そこに千景くんはいた。


(…来ちゃった)


足音に気づいたのか、千景くんがゆっくりこちらを振り向いた。

その瞬間、胸がドクンと鳴った。


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