からかわないでよ、千景くん。
「この怪我も、ほんとはすごく嫌。 すぐ撫でられる無防備さも」
「…っ!」
言葉の意味が、じわじわ胸に染みてくる。
千景くんの目は、いつもの優しい目じゃなかった。
鋭くて、真っ直ぐで。
まるで、獲物を捕らえて逃がさないような—— そんな目。
逸らしたいのに、逸らせない。
「なずなは、どこまで俺と同じ気持ちになってくれる?」
(同じ気持ちって…?)
千景くんの気持ちが、強すぎて。
どうにかなってしまいそうだった。