からかわないでよ、千景くん。
段々近づいてくる千景くんの顔。
反射的に、少しだけ体を後ろに逸らそうとした。
でも—— 背中が、壁に当たった。
「もう一生逃げれないね。かわいそう」
千景くんの両手が、私の顔の横の壁につく。
(な、なんでこんなことに…!?)
視線が、少し斜め上から私を見下ろすように降ってくる。
その目に、ゾクッとした。
「ち、千景くん…」
「なに?」
「これは…どういった状況…?」
千景くんは、壁に手をついたまま、少しだけ首を傾ける。