からかわないでよ、千景くん。



千景くんの、満足そうな顔。

それを見た瞬間、胸がぎゅっと締めつけられた。


(なんだろう…私、今、千景くんの隣にいたくない)


その気持ちが、自分でもびっくりするくらい強かった。



「先生、体調悪いので保健室行ってきていいですか?」



立ち上がって、そう言った。



「1人で大丈夫かー?」


「はい」



千景くんの方は、一切見なかった。

教室を出るとき、涙が溢れそうだった。


(あんなに、千景くんの隣にいたかったのに)


今は、ただ遠くにいたかった。

自分の気持ちが分からなくて、でも痛みだけははっきりしていて

その痛みから、少しでも逃げたかった。


< 97 / 277 >

この作品をシェア

pagetop