忘れたはずの恋心に、もう一度だけ火が灯る ~元カレとの答え合わせは、終電後の豪雨の中で~

再会


 金曜日の仕事終わり。

 30分の残業の後退社した私は、手短に友人にメッセージを送った。

 『ごめん、今仕事終わった。向かうね』
 『お疲れ様。店まで結構混んでたから気を付けて』

 すぐに返って来たメッセージに、スタンプで返事をして電車に乗る。金曜日ということもあってか、いつもは疲れ切っている社会人の顔がどこか明るい。

 (あー… 柄にもなく緊張してる)

 そんな彼らとは対称的に、窓ガラスに映る自分の顔はどこか引き攣っていた。

 これから会う友人のことが嫌いなわけではない。

 ただ、


 ____≪次は○○、○○。お出口は右側です≫


 アナウンスにハッとなった。ここで降りないといけないのに…危うく乗り過ごすところだった。

 慌てて降り、手鏡で身だしなみを確認してから、待ち合わせをしている店へと向かった。



< 1 / 22 >

この作品をシェア

pagetop