クズなキミからの不適切な溺愛
プロローグ
深夜零時すぎ──もし私が仮にシンデレラだったとしたなら魔法が解けている時間。
それなのに今、王子様と呼ばれている彼がベッドに私を組み伏せたまま、熱い視線を向けている。
「好きです」
「吉良……くん?」
そしての彼の大きな手のひらが私の頬に触れる。彼の艶やかな黒髪がわずかに揺れて、形の良い唇が弧を描く。
「もう──俺に抱かれてください」
私は酔いの回った頭で何も考えられなくて、気づけば彼の背中に両手を回していた。
身体中にキスを落とされて、優しく丁寧に慈しむように誰かに触れられるのは初めてだった。
愛おしそうな眼差しで、低く甘い声で何度も名前を呼ばれて二つの呼吸がただ混ざる。
「もう離さないから」
私を見つめる切ない眼差しに心臓がぎゅっとなる。
この時の私は知らなかった。
まさか私がクズの王子様に恋をするなんて。
そして彼の秘めた想いに心も身体も全てを奪われてしまうなんて、想像もしていなかった。
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