オレンジ色の奇跡
ジョンは、ポケットに両手を入れ梨海と話していたがあたしの視線に気づきこっちを見た。
梨海との会話を切り上げあたしの方に近づいてくる。
その一歩一歩に緊張感が増していく。
ちょうどあたしの前に来たとき思い切って口を開く。
『ジョッジョン!あ…あたし』
『おめでとう。舞希、良かったな』
ジョンの周りに花が咲いたのではないかと思うほどの満面の笑みをあたしに向けていた。
「えっ?」
正直、笑顔を向けてもらえるなんて考えていなかった。
「俺の自慢の彼女だ」
岩佐先輩は腰にあった腕を肩に移動し、すでに密着している身体をもっと密着させるかのように引き寄せた。
『ふ…本当だな。…………舞希』
落ち着いた静かな声であたしを呼ぶ声。