オレンジ色の奇跡


「何でそんなこと聞くの?」

「ほれ。見てみろよ」

 ユウにぃが指差すその先には、走ってこっちに向かってくる岩佐先輩の姿。

 え……?
 なんで……?

 勝手に出てきたのはあたしなのに……。

「…ま、きっ!!」

 あたし達の前に来て、両手を両膝に乗せ肩で息をしている岩佐先輩。

「「「けいちゃあんっ」」」

「はぁっ、はぁーっ…タケさん、ユウさん、モヤっさん」

「舞希ちゃん泣かせてんじゃねぇよ」

「けいちゃん困るよ」

「も、モヤっさん………」

 どうすればいいのか分からず、膝の上で握りこぶしをつくりそれを見つめる。

 まだ、怒ってるのかな?

 あ、さらに怒ったか……。
 あたし、出てきちゃったんだもん。

 ザッザッ、と砂と靴の擦れる音。

 握りこぶしからあたしの足元の少し先を見ると岩佐先輩の靴が見えた。

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