Dear...
チョコを買った夜。
あたしは家に帰って、陽子に電話をかけた。
陽子は小学校からの幼なじみで、なんでも話せる大切な友達。
高校は別だけど、放課後に会ったりこうして電話で近況を話すのが日課だった。
『えーっ!?なんで手作りじゃないの!?』
陽子の声が、受話器越しに跳ねる。
「だって……話したこともないのに手作りとか、逆に怖くない……?」
『……たしかにね』
あたしの答えに、陽子はくすっと笑った。
『でもさ、あたし的には……
初手で教室に行こうとしてる時点で、手作りよりずっとすごいと思うよ?』
その一言に、思わず吹き出す。
「たしかに……やるよね、あたし」
あたしの過去の恋愛は、付き合ったのが2人。
ファミレスでご飯を食べただけの人が、もう1人。
どれも、自分からアプローチしたわけじゃなくて——
相手から声をかけてくれて始まった恋だった。
こんなふうに自分から動こうとするのは今回が初めてで。
だからこそ、陽子の存在はすごく心強かった。
先輩のこと、話せただけで——
少しだけ勇気がわいた気がした。
『頑張ってね!』
陽子の声に背中を押されながら電話を切る。
あたしは小さくうなずいた。
よし、頑張ろう。