Dear...
そして迎えた、水曜日の朝――
ついにバレンタインがやってきた。
「はぁ〜……」
もぉぉ!落ち着かないよぉ。
昨日はいくら眠ろうとしてもドキドキは消えなかった。
朝から心臓がバクバクして、ずっとソワソワしてる。
授業もまったく集中できなくて、ランチの時も上の空だった。
「落ち着け、あたし……」
午後の授業が始まる前、あたしは廊下の突き当たりにあるトイレに来ていた。
鏡の前に立って、自分の顔をじっと見つめる。
丸くて大きな目。
色白の頬は、ドキドキしてるせいでほんのり赤くなってる。
「……子どもっぽいなぁ」
ショートヘアの毛先が少し浮いてる気がして、
指でそっとなでつけた。
……大丈夫。ちゃんと整ってる、大丈夫。
香織みたいに大人っぽくてスタイルも良かったら、
もっと堂々とできたのかな……
でも――
これが、あたし。
「よし」
鏡に向かって、小さくうなずく。
こんな自分でもいい。
今日、渡すんだ。
あたしは深呼吸をして、教室に戻った――。