氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「ようやくおさまる所におさまったって感じですね」

 イジドーラの背に声をかけると、いたずらな叔母は、扇を広げて「そうね」と満足げに頷いた。

「ねえ、イジドーラ様。ひとつだけ聞いてもいいですか?」
「何かしら?」

 不意の問いかけに、イジドーラは前を向いたままだ。

「イジドーラ様は、アンネマリー嬢がハインリヒ様の託宣の相手だと、初めから分かっておられたんですか?」
「あら、まさか」

 そう言ってイジドーラはわずかにこちらを振り返った。閉じた扇を口元に置き、カイに向けて妖艶な笑みを()く。

「女のカンよ」

 大きく目を見開いたカイは、次の瞬間、お腹を抱えて笑い出した。

「オレ、一生、イジドーラ様にかなう気しねーっ!」


 極寒の冬の晴れ渡った青空の下、カイの大爆笑が響き渡る。

 龍歴八百二十九年、ハインリヒは託宣通りに、アンネマリーを王太子妃に迎えることができたのだった。






 氷の王子と消えた託宣 終

▶寡黙な公爵と託宣の涙(龍の託宣3)に続く

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