氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
 わたしは禁断のKRGのストーリーをひとつひとつ思い出しながら、記憶に残るすべてを書き出して、何日もひとり悩み考えた。

 ハインリヒが生まれたのはわたしが一歳の時だったので、日本語で書かれたそのメモは、幸い子供の落書きとして不審がられることなくなんなく見逃された。
 そのメモは今でも大事に保管してある。

 当時のわたしがまず考えたのは、どのルートが一番平和裏に終われるかということだった。
 となると、ルカルート一択か。

 しかし、ルカと将来を誓いあえる自信はない。ルカが結婚できる年齢になったとき、ヒロインは23歳。王女としては完全に行き遅れである。
 現実的に考えて、王女として政略の駒となるべく、途中でルカをポイ捨てすることになるだろう。

 バッドエンド回避のために純真無垢なルカの人生を利用するなど、この国の王女として、そして人としてできるはずもなかった。


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