さくらびと。 恋 番外編(3)






新病棟での最初の一週間は悪夢のようだった。






「203号室の点滴ラインが詰まっています!」




「板垣先生!805号室の患者さんのバイタル低下してます!」





「新しい電子カルテシステムがまたフリーズしました!」





ナースステーションは常に怒号と警告音に包まれていた。








蕾は一日中病室とステーションを行き来し、リーダーとして各チームに指示を出さなければならなかった。






「吉岡さん!407号室の酸素流量確認してください!それから山本さん、薬剤チェックお願いしますっ」






休む暇もない。






有澤先生もほとんど似たような状況だった。









措置入院後の患者管理に追われながら新病棟の医療機器の調整にも奔走しているようだ。







そんな慌ただしい日々の中で、一度だけ病棟の廊下で有澤先生と擦れ違ったことがあった。忙殺されていた蕾は彼が声をかけてくれても挨拶だけで立ち去ってしまうのが精一杯だった。






「桜井さ……」





「先生ごめんなさい。いま急いでてっ…」






それだけで終わってしまう短い遭遇が何度か繰り返された。寂しいとは思ったけれど、それどころではなかった。







3ヶ月目に入ると少しずつ改善の兆しが見え始めた。新しいシステムにも慣れ始め、人員配置も最適化されてきた。






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