寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
◇
「ああ、また駄目だわ……!」
手のひらの中でふたつに砕けてしまった緑の石にため息を落とす。小さな石くずを落とさないよう、リーゼロッテは慎重にそれを箱の中へと戻した。
(まだらにはなってたけど、今回はうまくいきそうだったのに)
残った砂粒をはらうと、横に座って書類に目を通していたジークヴァルトに、ふいにその手を取られた。
「怪我はないか?」
「はい、大丈夫ですわ」
返事を疑っているかのように、親指が手のひらを滑っていく。それがくすぐったくて、リーゼロッテは思わず手を引いた。
「動くな」
ジークヴァルトの指は傷の有無を確かめるように、手首から爪の先までゆっくりと移動していった。丹念に確認された後、ようやく手が解放される。
(大丈夫って言ってるのに)
そう思いつつもリーゼロッテはジークヴァルトにすまなそうな顔を向けた。
「お仕事中に邪魔をして申し訳ございません」
「怪我がなければそれでいい」
そっけなく言ってジークヴァルトは書類へと視線を戻した。リーゼロッテも再び目の前の箱を覗き込む。その中には、先ほど戻した割れた石の他に、灰色の丸い石がいくつか転がっていた。
小さ目の新しい石を選んで、両手で包み込む。リーゼロッテはその灰色の石に、自身の力をそっと注ぎこんだ。隙間からのぞくと、灰色だった石が仄かに緑を帯びている。
「ああ、また駄目だわ……!」
手のひらの中でふたつに砕けてしまった緑の石にため息を落とす。小さな石くずを落とさないよう、リーゼロッテは慎重にそれを箱の中へと戻した。
(まだらにはなってたけど、今回はうまくいきそうだったのに)
残った砂粒をはらうと、横に座って書類に目を通していたジークヴァルトに、ふいにその手を取られた。
「怪我はないか?」
「はい、大丈夫ですわ」
返事を疑っているかのように、親指が手のひらを滑っていく。それがくすぐったくて、リーゼロッテは思わず手を引いた。
「動くな」
ジークヴァルトの指は傷の有無を確かめるように、手首から爪の先までゆっくりと移動していった。丹念に確認された後、ようやく手が解放される。
(大丈夫って言ってるのに)
そう思いつつもリーゼロッテはジークヴァルトにすまなそうな顔を向けた。
「お仕事中に邪魔をして申し訳ございません」
「怪我がなければそれでいい」
そっけなく言ってジークヴァルトは書類へと視線を戻した。リーゼロッテも再び目の前の箱を覗き込む。その中には、先ほど戻した割れた石の他に、灰色の丸い石がいくつか転がっていた。
小さ目の新しい石を選んで、両手で包み込む。リーゼロッテはその灰色の石に、自身の力をそっと注ぎこんだ。隙間からのぞくと、灰色だった石が仄かに緑を帯びている。