寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
◇
戻った公爵家の部屋で、リーゼロッテはぼんやりとエラの手つきを眺めていた。三枚のハンカチが、手際よく綺麗にラッピングされていく。
「ねえ、エラ。本当にこれが贈り物で大丈夫かしら?」
もうすぐジークヴァルトの誕生日がやって来る。だいぶ前に完成していた刺繍のハンカチは、ごたごたしていたせいでいまだリーゼロッテの手元に残されていた。それを誕生日のプレゼントにしようと決めたはいいが、今さらながらに不安になってくる。
ジークヴァルトには今までありとあらゆる物を貰ってきた。婚約者として受け入れて当然と周囲には言われるが、そのお返しが手製の刺繍入りのハンカチでは、ジークヴァルトにしてみれば割に合わないのではないだろうか。
「公爵様はきっとおよろこびになられますよ。このエラが保証いたします」
大きく頷きながら、エラは緑のリボンを飾りの花の様に仕上げていった。リーゼロッテの瞳の色によく似た綺麗なリボンに、公爵も満足するに違いない。そう思うとエラの口元はほころんだ。
「……お嬢様、本当にイザベラ様をお茶会にお招きになられるのですか?」
「ええ、そのつもりよ。ジークヴァルト様もブラル伯爵様と懇意になさっているようだし、お呼びしない理由はないでしょう?」
静かに答えるリーゼロッテに、エラは泣きそうな顔をした。やさしすぎるお嬢様を、この身を挺してお守りしよう。そんな思いが溢れてくる。
「エラはいつでもお嬢様の味方です」
「ありがとう、エラ」
完成したラッピングに瞳を細め、リーゼロッテはやわらかく微笑んだ。
戻った公爵家の部屋で、リーゼロッテはぼんやりとエラの手つきを眺めていた。三枚のハンカチが、手際よく綺麗にラッピングされていく。
「ねえ、エラ。本当にこれが贈り物で大丈夫かしら?」
もうすぐジークヴァルトの誕生日がやって来る。だいぶ前に完成していた刺繍のハンカチは、ごたごたしていたせいでいまだリーゼロッテの手元に残されていた。それを誕生日のプレゼントにしようと決めたはいいが、今さらながらに不安になってくる。
ジークヴァルトには今までありとあらゆる物を貰ってきた。婚約者として受け入れて当然と周囲には言われるが、そのお返しが手製の刺繍入りのハンカチでは、ジークヴァルトにしてみれば割に合わないのではないだろうか。
「公爵様はきっとおよろこびになられますよ。このエラが保証いたします」
大きく頷きながら、エラは緑のリボンを飾りの花の様に仕上げていった。リーゼロッテの瞳の色によく似た綺麗なリボンに、公爵も満足するに違いない。そう思うとエラの口元はほころんだ。
「……お嬢様、本当にイザベラ様をお茶会にお招きになられるのですか?」
「ええ、そのつもりよ。ジークヴァルト様もブラル伯爵様と懇意になさっているようだし、お呼びしない理由はないでしょう?」
静かに答えるリーゼロッテに、エラは泣きそうな顔をした。やさしすぎるお嬢様を、この身を挺してお守りしよう。そんな思いが溢れてくる。
「エラはいつでもお嬢様の味方です」
「ありがとう、エラ」
完成したラッピングに瞳を細め、リーゼロッテはやわらかく微笑んだ。