寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「義姉上、ご無沙汰しております」
「ルカはどうしてここに……?」
「義姉上を驚かせようと黙ってお邪魔させていただきました。このまましばらく公爵家に滞在させていただく予定です」
「え?」
思わずジークヴァルトを見上げると、ジークヴァルトは黙って頷き返してきた。
「ジークヴァルト様、わたくしに引き続きルカまでお世話になるなんて……。父に代わってお礼を申し上げます」
「いい。好きなだけいればいい」
そう言って、ジークヴァルトはリーゼロッテの髪を梳いた。
「義兄上と義姉上は相変わらず仲がよろしいようで安心しました」
ルカに天使の笑顔を向けられて、リーゼロッテの胸はちくりと痛んだ。しかし、先ほどのツェツィーリアの態度を見た後では、自分がどれほど贅沢なことを言っているのかと思ってしまう。
「義兄上、ひとつお願いがあるのですが。未来の義弟の願いだと思って、聞き届けてくださいますか?」
「ああ、何だ?」
真摯に見上げてくるルカに、ジークヴァルトは静かに視線を落とした。
「わたしはツェツィーリア様に先ほど求婚いたしました。身分をわきまえない愚かな思いかもしれません。ですが、わたしは本気でツェツィーリア様を幸せにしたいのです。悔しいことに、今のわたしは何の力もない子供です。どうか今しばらくは、義兄上のお力を貸していただきたいのです」
「まあ!」
リーゼロッテが驚いたように声を上げた横で、ツェツィーリアが真っ赤になって口をパクパクとしている。
「ああ、承知した。オレにできることなら力を尽くそう」
「ありがとうございます、義兄上!」
「ちょっと、ルカ、あなたにはプライドっていうものがないの!?」
動揺したように声を荒げるツェツィーリアに、ルカはきりっとした顔を返した。
「将を射んとする者はまず馬を射よ、です。欲しいものを手に入れるためなら、人の道に反しない限りは、やれるだけのことをするのは当然のことでしょう?」
そのゆるぎない返事に、ツェツィーリアはくらりと眩暈を覚えた。
「あなた、会ったばかりのわたくしに、なに馬鹿な事言っているのよ!!」
「一目ぼれなんです。必ず一生大切にします」
「まあ!」
ふたたびきりっとした顔で言われ、ツェツィーリアは今度こそ卒倒して、リーゼロッテの腕へと倒れ込んだ。
「ルカはどうしてここに……?」
「義姉上を驚かせようと黙ってお邪魔させていただきました。このまましばらく公爵家に滞在させていただく予定です」
「え?」
思わずジークヴァルトを見上げると、ジークヴァルトは黙って頷き返してきた。
「ジークヴァルト様、わたくしに引き続きルカまでお世話になるなんて……。父に代わってお礼を申し上げます」
「いい。好きなだけいればいい」
そう言って、ジークヴァルトはリーゼロッテの髪を梳いた。
「義兄上と義姉上は相変わらず仲がよろしいようで安心しました」
ルカに天使の笑顔を向けられて、リーゼロッテの胸はちくりと痛んだ。しかし、先ほどのツェツィーリアの態度を見た後では、自分がどれほど贅沢なことを言っているのかと思ってしまう。
「義兄上、ひとつお願いがあるのですが。未来の義弟の願いだと思って、聞き届けてくださいますか?」
「ああ、何だ?」
真摯に見上げてくるルカに、ジークヴァルトは静かに視線を落とした。
「わたしはツェツィーリア様に先ほど求婚いたしました。身分をわきまえない愚かな思いかもしれません。ですが、わたしは本気でツェツィーリア様を幸せにしたいのです。悔しいことに、今のわたしは何の力もない子供です。どうか今しばらくは、義兄上のお力を貸していただきたいのです」
「まあ!」
リーゼロッテが驚いたように声を上げた横で、ツェツィーリアが真っ赤になって口をパクパクとしている。
「ああ、承知した。オレにできることなら力を尽くそう」
「ありがとうございます、義兄上!」
「ちょっと、ルカ、あなたにはプライドっていうものがないの!?」
動揺したように声を荒げるツェツィーリアに、ルカはきりっとした顔を返した。
「将を射んとする者はまず馬を射よ、です。欲しいものを手に入れるためなら、人の道に反しない限りは、やれるだけのことをするのは当然のことでしょう?」
そのゆるぎない返事に、ツェツィーリアはくらりと眩暈を覚えた。
「あなた、会ったばかりのわたくしに、なに馬鹿な事言っているのよ!!」
「一目ぼれなんです。必ず一生大切にします」
「まあ!」
ふたたびきりっとした顔で言われ、ツェツィーリアは今度こそ卒倒して、リーゼロッテの腕へと倒れ込んだ。