【コンテスト用短編作品】すれ違いだらけの婚約関係は、3年越しのファーストキスでやり直しましょう ~御曹司である婚約者が嫉妬深いなんて聞いてません!!~

「ま、待て。じゃあ、昨日のキスは、」
「ファーストキスですね」

 そう言うと、彼はまた死にそうな顔になった。
 いやいやいや!!ちょっと待って!?

「高見さん!?顔色が悪すぎますって!」
「浮気を疑って嫉妬したとはいえ、ファーストキスをあんな…」
「気にしてませんって!!ファーストキスに重き置いてないタイプなので、心配しないでください!」

 
「いや、それでも駄目だ。やり直したい」


 ガシッと手を掴まれる。
 ぇ、と小さく漏らすも、高見さんの目は真剣そのものだ。何であなたの方が重要視してるんですか!?

「高見さんは別に初めてじゃないでしょう!?」
「…桃華さんとは初めてだ」
「え、名前…」
「今は婚約者だが、いずれは結婚するだろう?その時に苗字呼びでは変だからな」

 そして、ニヤッと笑う高見さん。
 ちょっと待ってほしい。その理屈だと、

「桃華さんにも、いずれ名前呼びになってもらうからな」
「む、無理です…」
「もう一度始めるんだろ?」

 優しく頬に手を添えられる。その熱が、どうにも伝わって仕方ない。
 半ばソファーに押し倒されるような体勢。逃げ場を奪われた私は、ほんの少し顔を伏せるしかない。

「で、桃華さんが嫌がるのなら、俺は待つ。それぐらいには本気なんだ」
「……っ」

 そんな甘い声で囁かれたら、そんな耐えるような顔をされたら、__

「や、やさしくしてください、」
「……キスだけで収まらなかったら悪い」
「はい!?」

 そんな言葉とは裏腹に、キスはとても優しかった。啄むようなものから、甘く舌を絡められた。


 
 3年のすれ違いを経て、ようやく向き合えるようになった。
 
 
 これから甘く痺れる愛を惜しげもなく与えられることを、今の私はまだ知らない。

 
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