国民的アイドルが現実世界も異世界でもILoveYou!

ラブ×1~私色のハートは迷宮入り~


都会の街を歩けば看板に、電車に乗れば掲示板のCMに、テレビをつけたり、雑誌を開いたらと私色に染まっている。

『本日のゲストはColoRuNeAの皆さんです!』

「こんばんはー!白いハネに夢をお届け、ColoRuNeAの小鳥遊《たかなし》 夢唯《ゆい》です!本日はよろしくお願いしまーす!」

観客席に笑顔で手を振ると、ふっふふーみーんな薄紫のうちわとペンライトのこの光景は圧巻だわ!そしてメンバーたちの嫉妬した顔もとんでもない優越感♡

「ねぇ、あの子!」

「わぁ!顔ちっちゃ!!」

変装してもバレちゃうオーラ

「あの!好きです、つ、付き合ってください!!」

高校学校内でもアイドルで人気者。

「ごめんなさい…」

あなたじゃ私の相手に相応しくない。と仕事で学校を早退して、荷物を取りに誰もいないマンションの一室に帰る…シャワー浴びてメイクして可愛い服を着て。私は出かける用のカバンを持って外に出て駅前の電光掲示板で待つ。

「やぁ、夢唯ちゃん!」

「おはようございます!マネージャー!」

マネージャーの車に乗り込む。野菜スムージープロテイン入りを飲みながら車に揺れる。

ーーーあ、あの広告昨日撮影したやつだ。

「また一つ、私に染まっちゃった。」

マネージャーに聞こえないような独り言を呟いた。雑誌の撮影、映画のヒロイン役、歌番組と眩しい光に当たり続ける。

「熱い君の目に 鏡の私!ラブリーでしょ!でしょ!」

マイクを持ってウインクしながら、バーンと指で弾くとみーんな頬を赤くする。

「ね、ずっと見ててよね〜!」

「素晴らしい歌ありがとうございました!ColoRuNeAのみなさんで、熱恋の眼差しでした!」

ステージに履けるまで手を振り、舞台袖を降りても「夢唯ちゃーん」と言う声が聞こえる。

「さいこーう!」

今日分の仕事は終わり、またマネージャーの車に乗って窓を見るとさっきまで昼の空だったのに、もう真っ暗な夜だ。

「本当にここでいいのかい?」

「はい!寄りたい所あるので!」

「そうか…じゃまた明日14時に。」

ブーンと行った黒い車。

「わかってるんだから、あんたが下品な目で私を見ているのが。」

私が気付いてないと思ってるなんて……敵は早めに芽を摘んでおかないとね。

「本当に男の人って嫌い。もっと早くシライアさんに相談すれば良かった。」

私は警察に匿名でいろいろメールで報告しといた!私はスマホの電源起動して、鍵マークのアプリを開いてIDを入力して改札のICタッチして、私しか見えない通路と地下の入り口に入り、階段を降りるとレトロな電車が私の目の前に止まる。

『異世界・ホルメン行き』と書かれている。

木製の扉が開き、座席の緑のチェック柄のクッションに座る。

「ふふ。相変わらず、ふかふかね!」

ーーーチリンチリンとベルが鳴ると電車は発車する。普通の電車みたいにガタンゴトンとは言わない窓を見ると空と海が見える景色。

「一面青くて爽快よね。」

そこがホルメン行きの電車のファンタジーなところよね。ホルメンはゲームみたいなシステムの場所で、プレイヤーが魔物を狩ったり、お店をやったり、旅を出るも自由。

私の唯一気兼ねない場所だ。

「甘い夢見てると なんだか切なくて〜」

マネージャーから貰ったデモを聴いていると電車が止まった。ホルメンと書かれた白い看板にホームに到着。でもこのホームは床石どころかホーム自体がなく、この下は何も無い透明な場所。

「まるで空とか宇宙みたいなのよね。」

私は電車のドア付近に設置されている、ICパネルにスマホをタッチするとドアが開き、私は迷わず降りる。真下に落下して行くと雲を潜るとぼふんっ!と私服から小悪魔な姿に変身、ちゃんと黒い羽は意思で動くのよ!

「プレイヤーの衣装が選択制じゃないく、運営側のイメージで決められているらしい不思議よね。ていうか私のイメージってこういうイメージなのかしらね。」

『ドレイン・フランダ。ログイン完了』表示されて、スタッと地面に着地してモヤが晴れると周りは生い茂った森だ、降りる先はレベルによって違う。

「ここは深緑が生い茂っているから、コルンダの森ね。」

森によっても葉っぱの色が違う。コルンダの森は深緑だけど、サルリンの森はエメラルドグリーンだし、スプリンの森はピンク色の木なのよ。

「さ!今日もSSSの魔物を倒して、素材をゲットや報酬をするぞー♡」

この森はSSS級の魔物しか出ないのだ。降りる地点はプレイヤーのレベルに寄っても違う。街だったり、洞窟だったり、私みたいに森だったりする。ちゃんとSSS級の場所に行く権利がないと行けないエリアにここはなっている。

「バルンパイダー、あんたを倒す!」

バルンパイダーは高級な糸が採れるのだ。これで編み物とか服を作ると超綺麗な品物になるのよ!

「ふふ、ダークパラリィー!」

これは相手に電気ショックを与えて、麻痺して相手を動けなくする魔法攻撃である。麻痺して動けなくなった、バルンパイダーの綺麗なシルク糸を回収。

「ダークヒール。」

殺す理由もないからバルンパイダーを回復させて、私はこの先の洞窟を通り、ルビーやガーネットになる赤い色に輝く鉱石や金属になる鉱石を回収するして洞窟の出口を通り、街の検問を警備さんに入る許可が下りると賑やかな繁華街に来た。

「ドレインさん!こんにちは!」

赤や緑のテントが並ぶ屋台や台車が並ぶ出店が沢山。ここでは果物や野菜、お魚とかお肉が買える。

「おじさん、フライエッグ1つください!」

「はいよ!120リンだ!」

お金を渡すと出店で買うことも出来る。単位はリンだけど、お金の数字は日本と変わらない。

「あっつ!」

揚げたてや焼きたての食べ物には舌の火傷に注意だけどね。

「ドレインさん!これ新鮮な果物たちを持って行ってちょうだいな!」

紙袋に入っているのは真っ赤に熟れたレッドアップリュだった。

「わぁ、ありがとうございますー!でもこんなにもらっちゃっていいんですか?」

「この前荷物を持ってくれたし、ドレインと一緒に選んでくれた花束、親戚にあげたらすっごい喜んでくれたのよ〜!」

「ふふ、喜んで頂けたなら良かったです!」

やっぱり誰かが笑顔になるのは嬉しいことだ。ステージ前のお客さんとか、雑誌を読んでる時の同年代の女の子とか。

「愛されたいとかもあるけど。喜んでもらえる嬉しさは子役から変わらない。」

ある一角に白を基調とした木製の家が立っていて、裏口のドアを開けると前回の撮影で行った、白を基調としたファンタジーランドのようなホルメンの自宅兼店内だ。

「あれ、黒とオレンジの靴がある。」

鍵を指して魔力を流すとカチッとロックが解除されたからドアノブを捻って中に入ろうと思ったらリビングに繋がる廊下の電気が着いており、玄関の靴脱ぎ場に一足の靴がある。

「もういるのね。クルリー!」

ドアをゆっくり閉めながら中にいるであろう名前を呼ぶ。するとトトト…と足音が聞こえて

「やぁ!おかえり、ドレイン!」

可愛らしい笑顔で言っているこの人は、クルリ・ロウバン。初めは魔法図書館で出逢い、そこからサウリンというCランクの森でクルリが子供を遭遇したり、コルンダの森でSSSのワイバーンに襲われていたのを助けたりと偶然の縁があってクルリと仲良くなったのだ。

「ただいま、クルリ!」

「へへ!待ってた!」

その無垢なクルリの笑顔に私は癒される。荷物を置いた途端ぐるりと目が回る。

「あ。」

『Loveゲージがゼロ』と表示されている。最悪、この悪魔的な設定はとても便利だし強いけど何故かLoveゲージという変な機能がある。

「ドレイン!?大丈夫!!」と抱きしめられた。

はわわっ!顔近っ!!0%→30%程Loveゲージが溜まった。つまり無条件な愛を受けるとこのゲームは溜まるのだ。

「クルリありがとう、もう大丈夫。」

「ダメ、起きちゃ!ドレインの顔色がまだ悪いよ、このポーション飲んで?」

クルリが持っているのはエネルギーポーション。そう言えば今日仕事に覆われて日だったな。

「ありがとう、クルリ。頂くね!」

クルリから受け取り、キャップを外して飲むとほんのり彼のような優しい味がして少し泣きそうになった。Loveゲージが30%→70%まで上がった。

「よかった!ドレインの顔色よくなって!!」

「ありがとう。ね!クルリ、これ着てみて!!」

「お!ドレインの新しいデザインした服!?着る着る!!」と私が持っている男性服をクルリは持って、試着室へと消えた。

「どう?ドレイン!!」

「ふふ!似合うよ、クルリ!」

大丈夫そうだから、さっきバルンパイダーの糸と洞窟で採った鉱石を錬金術をかけて素材にする。さらに加工魔法をかけると、糸が布に、鉱石が宝石へと変化する。

私は電子ミシンでクルリが来た服を作っていく。

「僕も手伝うね!」

「うん!ありがとう!!」

布で服を作って、宝石からアクセサリーを作るともう夜明けだ。

「さ!お店を開けよう!」

「うん、タカナシ開店だ!」

そして表の扉の札をCLOSEからOPENとひっくり返した、お店の外はわいわいと賑わう繁華街。人間族や違う者、ウルフ族やドワーフ族などの多種族がヨーロッパみたいな街並みを歩いている。

ーーーカランカランと扉のベルが鳴る。

「いらっしゃいませー!」

ここはお店の名前はタカナシ。服や雑貨を取り揃えている私のお店、昔からハンドメイドをするのが好きで始めたんだ。現実は忙しくてできないからすごく新鮮で楽しい。

「こんにちは、ドレインさん。」

ふわりとキラキラ白く透明なカーテンが雨水の香りが含んだ風が店内に舞う。

「あらルフさんじゃないですか!この時間帯はお仕事では?」

ウルフ族のルフさんだ。現実世界だとおじいさん的な人で優しい紳士的なサラリーマンなのだ。大事な仕事の時によく立ち寄ってくれる常連さんだ。

「そうなんだが、大事な取引があってな。いいスーツはないかね?」

「はい!そうですね…このスーツとか如何ですか?」

今日取り揃えた黒、紺、灰色のスーツを3着、ルフさんの机前に並べる。

「ふむ、どれも良い品だ。」

ルフさんの背中に3色のスーツを順に重ねていく。

「ルフさん白い毛が素敵なので、紺色か黒色がお似合いかと!」

「じゃあ、紺色を頂こうかな。」

「ルフさんの素敵な碧《みどり》の瞳には、この宝石と同じ碧色のネクタイがお似合いだと思いますが、いかがですか?」

「はは!ドレインさんは接客上手だな!それも頂こうありがとう。」

ーーーピロリンとカードを機械に翳すとお金が払われる。『1万リン支払い完了』と表示される。

「お買い上げありがとうございまーす!」

ーーーカランカランとお店のドアを開けて、ルフさんをお見送りする。

「ドレインさんのおかげでいい取引ができそうだ。ありがとう。」

「ありがとうございましたー!またのお越しをー!」

これも本当なら愛の気持ちだと思うんだけど、なぜかLoveゲージは何も変わらない。

「ねね、クルリ〜!この金色のアクセサリーめちゃよくない?」

「はい!すごくお似合いだと思いますよ!」

誰にでも優しい綺麗なクルリは女性客に囲まれている。私は形が崩れてしまった服を畳直したり、少しホコリがあるところを掃除する。

ーーーカランカラン!!

「またのお越しを〜!」

「お疲れ様、クルリ!」

「うん!ドレインもね!」

無垢な笑顔にLoveゲージ70%→80%に上がった。何故かクルリのにしか反応しないよくわからないゲージなのだ。

「あ、そうだ!見てみて!ドレイン!」

今はお客さんがいなくて、お会計のところで椅子に座って針と糸でくまのぬいぐるみを縫っていたら、なんだか華やかな香りがするなと思ったていた。

「昨日森を散策してたら茉莉花を見つけてお香にしてみたんだ!」

クルリに声をかけられたから見たら、クルリの手にはお香があって、ぷくぷくとシャボン玉が出てくる。

「わぁ!そのお香かわいいね、それにリラックスするようなとてもいい香りだね!」

「へへ!水魔法と風魔法と石鹸などを混ぜてみたんだ!」

クルリはこう見えて、凄い魔法使いらしくて人を楽しませるような魔法を使うクルリを私は尊敬している。わかるんだ、凄い人って実力だけじゃない…こういうクルリみたいに優しさもあるんだってこと。

「ほんとうに、凄い」

「ドレインが笑ってくれて僕嬉しい!」

……ほんとうに、クルリには敵わないな。その優しさはたまに私の心がチクリと痛くなる。

「ね!ドレイン!」

「なーに?」

「ドレインの焼いたパンとシチューが食べたいな!」

「わかった!もうお店閉める時間だし、夕飯作ろうか!」

「わーい!僕も作るの手伝うね!」

私はタカナシの表の扉の札をOPENからCLOSEへと戻した。

「パン生地はもう出来てるから焼くだけだから、シチュー作るの手伝って!」

いつもクルリがパンを食べたがるから、こうして前日に生地を寝かせてあるんだ。

「もちろん!」

私はダンシャクポテト、キャロット、ホワイトオニオン、ブロッコリーを刻んで、クルリはトサカバードのお肉を1口サイズに切り分けてくれたのを少し塩コショウして、揉み込む。

「こっちは終わったよ!」

「いいタイミングだね、私も!」

「棚からお鍋出すね!」

「お願いクルリ!」

お鍋にオイルとホワイトオニオンを炒めたら、お肉をさらに炒めて、キャロットとダンシャクポテトが柔らかくなるまで香草と一緒に煮込む。ちょうどいい煮込み具合になったらブイヨンと冷凍の飴色まで炒めたホワイトオニオンなどを入れる。

「いい匂いしてきた!」

「ブルのミルクとフレッシュチーズ、ブルラクを加えてとろみが出来たら」

「かんせいだね!」

竈からふわっと甘い香りがしてきたので、耐熱ミトンを手に嵌めて竈をあけるとキツネ色に焼けたパンが登場。

「ドレインの約パンはいつも綺麗な色!」

「うん!これでパンもできたね!」

「じゃあ!さっそく並べて食べよう!」

パンを木で編まれたお皿に並べて、お鍋からシチュープレートに具材とスーブをバランスよく入れて、テーブルに並べる。

「ね!見てよ、この前香雪蘭とレンリンソウが咲いているの花畑を見つけたんだ!」

香雪蘭とレンリンソウが花瓶に飾られているのをテーブルに置いてくれて、テーブルが華やかになった。

「かわいい!ありがとう、クルリ!」

「はは、どういたしまして!」

出来たて料理を冷める前に食べることにした。いいな、こういうのなんだか温かくなる。

「おいしい!」

ああ、こんな時間がずっと続けばいいのに。Loveゲージが80%→100%にMAXなると…目の前が暗くなり。目を開けると自宅の天井。

「帰ってきちゃった。」

幸せな夢を見たような感覚になるんだ。

「よし、今日もお仕事頑張るぞ!」と髪とメイク、服に今日の気合いを入れた。

……To be continued
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