アパレル店員のお兄さんを【推し】にしてもいいですか?
推しカップル
始業式。進級し3年生になったさゆかが廊下を歩いていると友美が駆け寄ってきた。
「さゆか、髪切ってるじゃん!可愛い!」
「ありがとう」
長かった髪を鎖骨ぐらいまで切ったさゆか。
「今年は同じクラスだね!よろしくね」
「うん、よろしく。麻由は離れちゃったね」
「麻由1組だっけ?私ら5組だから教室も遠いなぁ」
さゆかと友美が教室に入ると菅がいた。
「おぉー!よろしくなぁー!…え、しらっち髪が!!」
「どうかな?」
「…3年生って感じ!」
「…。」
数日後、映画館の入り口で一優を待つさゆか。
「さゆか?」
「一優さんっ!」
「びっくりしたぁ。髪切ったんだ」
「はい。似合ってますか…?」
「もちろん、すごく似合ってる。ただ…バッサリ切る時は今度から教えて?」
「…?あ、すみません。事前に髪の長さの好み聞くべきでしたね」
「いや、そういう意味じゃなくて…髪切って魅力的になったさゆかを1番に見たいからさ」
「あ、あぁ…はい」
(不意に独占欲出してくるのずるい)
顔を赤くする。
ドリンクを買った2人はシアタールームに入っていき、端の席に座った。
「久しぶりの映画館だからわくわくします」
「俺も久々」
(彼氏と映画館に来るの初めてだけど、観てる時って手とか繋ぐものなのかな…。でもずっと繋ぐのはキツそうだし。うーん、普通に観ればいいか)
一優の手を見ながら考えていた。
「ねぇ、エンドロールぐらいから手繋いでもいい?」
(え、心読まれてた!?)
「もちろんです」
エンドロールが流れ始め、一優がスクリーンを見たまま、そっとさゆかの手を握った。繋ぐと分かっていてもきゅんとしてしまうさゆか。
上映が終わり、手を繋いだまま映画館を出た2人。
「このあとどうしようか」
「うーん、そうですねぇ」
歩きながら次の予定を考えていると
「さゆか!?」
どこからか聞き覚えのある声がした。さゆかが周りを見渡すと、反対側の歩道に友美と麻由がいた。
「わぁ、びっくりした!」
大きく手を振る友美。
「いつも話してる仲良しの友美と麻由です。たぶん麻由は1年の時、文化祭で会ってると思いますよ」
「あ、そうだ」
一優が何か思いついた。
「??」
数分後、ファミレスで向き合い座る4人。
(どういう状況…?一優さんがいきなり2人を誘って、驚きつつ来てくれたけど…)
「2人とも甘いもの好きですか?」
「えっ、はい」
少し緊張気味の麻由が答える。
「じゃあ、ドリンクバーとパフェにしよう」
注文ボタンを押した。店員に伝え、メニュー表を閉じた。
「先に3人でドリンクバー取っておいで」
一優に言われドリンクバーコーナーに移動したさゆかたち。
「ちょっとちょっと。成り行きで着いてきたけどいいの!?」
「ごめんね、急に。たぶん2人しか付き合ってること知らないから話したかったんだと思う」
「なるほどね。というか、目の前にあんなイケメンいたらやばいんだけど」
飲み物を注ぎ、席に戻った。
「もし他のがよかったら遠慮なく言ってくださいね」
さゆかはそう言いながら一優の飲み物をテーブルに置いた。
「入れてきてくれたんだ、ありがとう。これ飲みたい気分だった」
「よかったです」
2人の雰囲気にそわそわする友美と麻由。
「さゆかって、学校でどんな感じですか?」
(!?ええええ、なんか懇談みたいになってるんだけど)
「どんな感じ…男女関係なく愛想良く接するので、ある意味人たらしですね」
「ちょっと、変なこと言わないでよ」
「家庭科の調理実習は、ダントツで手際が良かったです」
「その情報いらないからー」
「あはは、さゆからしいじゃん」
その後もさゆかの話題で盛り上がる一優たち。
「ちょっとお手洗い行ってきます」
さゆかが席を外し、友美が話し出す。
「…さゆかって悩んだ時に私たちに言ってこないんですよ」
「確かに、いつの間にか1人で解決しちゃってることあるある」
「そっかぁ」
「だから彼氏さんに何でも相談できてたら嬉しいなって思います」
「さゆかが甘えられる存在になれるよう頑張ります。もし、俺のことで不満とか言ってたらこっそり教えてね」
「それは大丈夫ですよ。付き合う前からゾッコンなので」
「あはっ、それはニヤけちゃうな」
「じゃあ、また学校でねー」
「またね!」
友美と麻由が帰って行く。
「良い友達だね」
「ありがとうございます。自慢の2人です」
「どうしよう、めちゃくちゃ良い彼氏だったね。中身も外見も完璧」
「だね。しかもさ、さゆかばっかり好きなのかと思ってたら、彼氏さんもさゆかを好きなのが伝わってきてさ」
「推しカップルだわ」
「体育祭の種目決めをします」
教室でクラスの体育委員が進行していく。
「今年は例年と違い、二人三脚は男女のペアで行うことになりました。希望者がいなければ、くじ引きをします」
(うちのクラスって、カップルいたっけ?)
ある男子が手を挙げた。
「大塚と根岸でまーす」
「お、カップルなら息ぴったりだなー」
周りの男子が盛り上がる。
(あ、あの2人付き合ってるんだ。初めて同じ組になるから知らなかった)
「しらっち!」
隣の席の菅が小声で話しかけてきた。
「出ようぜ、一緒に」
「…やだよ。足の速い菅と走ったら死ぬ。足速い子誘いなよ」
「二人三脚は息が合うかも大事だろ?大塚たちより俺らのほうが合う気がする」
(あ、こいつカップルに嫉妬して対抗しようとしてる…)
「はいはーい!俺と白井出まーす!!」
菅が大きな声で挙手した。
「えっ、ちょっと!」
「菅、白井ペア決定で」
黒板に名前が書かれる。
「さいあくー」
「任せとけって!」
友美が菅を見ていた。
「5組って誰が応援団長するの?」
下校中、麻由が友美に聞いた。
「決まってるでしょ…菅だよ」
「やっぱりか」
「1組は?」
「倉橋」
「あー、ぽいぽい。…そういえば菅、さゆかと二人三脚に出るのよ」
「そうなんだ。頑張ってるんだね」
「うん。でもね、菅のアプローチが見事に擦りもしないの。見てるこっちが悲しくなるほど。さゆか、菅のこと男だと思ってんのかな?」
「どうなんだろ。当日色んな意味で楽しみだね」
「ね」
「さゆか、髪切ってるじゃん!可愛い!」
「ありがとう」
長かった髪を鎖骨ぐらいまで切ったさゆか。
「今年は同じクラスだね!よろしくね」
「うん、よろしく。麻由は離れちゃったね」
「麻由1組だっけ?私ら5組だから教室も遠いなぁ」
さゆかと友美が教室に入ると菅がいた。
「おぉー!よろしくなぁー!…え、しらっち髪が!!」
「どうかな?」
「…3年生って感じ!」
「…。」
数日後、映画館の入り口で一優を待つさゆか。
「さゆか?」
「一優さんっ!」
「びっくりしたぁ。髪切ったんだ」
「はい。似合ってますか…?」
「もちろん、すごく似合ってる。ただ…バッサリ切る時は今度から教えて?」
「…?あ、すみません。事前に髪の長さの好み聞くべきでしたね」
「いや、そういう意味じゃなくて…髪切って魅力的になったさゆかを1番に見たいからさ」
「あ、あぁ…はい」
(不意に独占欲出してくるのずるい)
顔を赤くする。
ドリンクを買った2人はシアタールームに入っていき、端の席に座った。
「久しぶりの映画館だからわくわくします」
「俺も久々」
(彼氏と映画館に来るの初めてだけど、観てる時って手とか繋ぐものなのかな…。でもずっと繋ぐのはキツそうだし。うーん、普通に観ればいいか)
一優の手を見ながら考えていた。
「ねぇ、エンドロールぐらいから手繋いでもいい?」
(え、心読まれてた!?)
「もちろんです」
エンドロールが流れ始め、一優がスクリーンを見たまま、そっとさゆかの手を握った。繋ぐと分かっていてもきゅんとしてしまうさゆか。
上映が終わり、手を繋いだまま映画館を出た2人。
「このあとどうしようか」
「うーん、そうですねぇ」
歩きながら次の予定を考えていると
「さゆか!?」
どこからか聞き覚えのある声がした。さゆかが周りを見渡すと、反対側の歩道に友美と麻由がいた。
「わぁ、びっくりした!」
大きく手を振る友美。
「いつも話してる仲良しの友美と麻由です。たぶん麻由は1年の時、文化祭で会ってると思いますよ」
「あ、そうだ」
一優が何か思いついた。
「??」
数分後、ファミレスで向き合い座る4人。
(どういう状況…?一優さんがいきなり2人を誘って、驚きつつ来てくれたけど…)
「2人とも甘いもの好きですか?」
「えっ、はい」
少し緊張気味の麻由が答える。
「じゃあ、ドリンクバーとパフェにしよう」
注文ボタンを押した。店員に伝え、メニュー表を閉じた。
「先に3人でドリンクバー取っておいで」
一優に言われドリンクバーコーナーに移動したさゆかたち。
「ちょっとちょっと。成り行きで着いてきたけどいいの!?」
「ごめんね、急に。たぶん2人しか付き合ってること知らないから話したかったんだと思う」
「なるほどね。というか、目の前にあんなイケメンいたらやばいんだけど」
飲み物を注ぎ、席に戻った。
「もし他のがよかったら遠慮なく言ってくださいね」
さゆかはそう言いながら一優の飲み物をテーブルに置いた。
「入れてきてくれたんだ、ありがとう。これ飲みたい気分だった」
「よかったです」
2人の雰囲気にそわそわする友美と麻由。
「さゆかって、学校でどんな感じですか?」
(!?ええええ、なんか懇談みたいになってるんだけど)
「どんな感じ…男女関係なく愛想良く接するので、ある意味人たらしですね」
「ちょっと、変なこと言わないでよ」
「家庭科の調理実習は、ダントツで手際が良かったです」
「その情報いらないからー」
「あはは、さゆからしいじゃん」
その後もさゆかの話題で盛り上がる一優たち。
「ちょっとお手洗い行ってきます」
さゆかが席を外し、友美が話し出す。
「…さゆかって悩んだ時に私たちに言ってこないんですよ」
「確かに、いつの間にか1人で解決しちゃってることあるある」
「そっかぁ」
「だから彼氏さんに何でも相談できてたら嬉しいなって思います」
「さゆかが甘えられる存在になれるよう頑張ります。もし、俺のことで不満とか言ってたらこっそり教えてね」
「それは大丈夫ですよ。付き合う前からゾッコンなので」
「あはっ、それはニヤけちゃうな」
「じゃあ、また学校でねー」
「またね!」
友美と麻由が帰って行く。
「良い友達だね」
「ありがとうございます。自慢の2人です」
「どうしよう、めちゃくちゃ良い彼氏だったね。中身も外見も完璧」
「だね。しかもさ、さゆかばっかり好きなのかと思ってたら、彼氏さんもさゆかを好きなのが伝わってきてさ」
「推しカップルだわ」
「体育祭の種目決めをします」
教室でクラスの体育委員が進行していく。
「今年は例年と違い、二人三脚は男女のペアで行うことになりました。希望者がいなければ、くじ引きをします」
(うちのクラスって、カップルいたっけ?)
ある男子が手を挙げた。
「大塚と根岸でまーす」
「お、カップルなら息ぴったりだなー」
周りの男子が盛り上がる。
(あ、あの2人付き合ってるんだ。初めて同じ組になるから知らなかった)
「しらっち!」
隣の席の菅が小声で話しかけてきた。
「出ようぜ、一緒に」
「…やだよ。足の速い菅と走ったら死ぬ。足速い子誘いなよ」
「二人三脚は息が合うかも大事だろ?大塚たちより俺らのほうが合う気がする」
(あ、こいつカップルに嫉妬して対抗しようとしてる…)
「はいはーい!俺と白井出まーす!!」
菅が大きな声で挙手した。
「えっ、ちょっと!」
「菅、白井ペア決定で」
黒板に名前が書かれる。
「さいあくー」
「任せとけって!」
友美が菅を見ていた。
「5組って誰が応援団長するの?」
下校中、麻由が友美に聞いた。
「決まってるでしょ…菅だよ」
「やっぱりか」
「1組は?」
「倉橋」
「あー、ぽいぽい。…そういえば菅、さゆかと二人三脚に出るのよ」
「そうなんだ。頑張ってるんだね」
「うん。でもね、菅のアプローチが見事に擦りもしないの。見てるこっちが悲しくなるほど。さゆか、菅のこと男だと思ってんのかな?」
「どうなんだろ。当日色んな意味で楽しみだね」
「ね」