貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜

 どんどん外に出るタイプではないが、どちらかといえばインドアの趣味が多いからだ。

「ただ、詩乃さんと部屋で過ごすのが居心地良すぎるだけです」

 思いついたように、明人がさらっと付け足す。

 少しの間、沈黙が流れた。

 ふと詩乃の顔を見ると、照れたようにもじもじしている。

「……そ、そっかぁ」

 えへへ、と小さく笑った顔が、ニコニコとほころんでいた。

(か……可愛い……)

 詩乃は大きな目をぱちぱち瞬いて、ちょっとだけ下を向いて照れ笑いしている。

 いつも元気な彼女にこんなしおらしい顔をされると、ぐっとくるものがある。

「それに、女性と日帰り旅行に行くなんて、初めてのことなので」

「わたしだって初めてだよ」
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