貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜

 まだほんのりと頬を染めながら、詩乃が言う。

 ちらりと、明人の表情を伺うような顔がいじらしい。

「じゃあ、初めてのデート……」

 言いかけて、詩乃は慌てて言葉を切った。

 先日のクリスマスディナーは、デートではないのだろうか?

 ぽっと耳まで赤くしながら、急いで言い直す。

「じゃ、じゃなくて! 初めての、遠出だねっ」

 一所懸命に言い直す詩乃を見ていると、明人の中に、これまで芽生えたことのない欲求が湧いてくるのを感じた。

「おや。デートではないんですか?」

 ずいっと、さりげなく距離を詰める。

 もっと、詩乃が照れて困る顔が見たい。乙女そのものの、愛らしい仕草を見たい。
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