貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜
「では、そこに寄ったら帰りましょうか」
「え?」
明人が指した先には、ドラッグストアがあった。
交際が始まった二人が、夜、ドラッグストアで買うものといえば。
「そ、そっ、そうだね……」
しどろもどろになりながら、なんとか言葉を続けようとする。
あのとき、明人が急に買い出しに行こうと言った真意はここにあったに違いない。
確かに、こんなことになるとは予想もしていなかったのだから、なんの準備もしていない。
「じゃ……じゃあ、わたし、ここで待ってるから、あの、ごゆっくり……」
顔が真っ赤になっているのを自覚しながら、詩乃はもじもじして言った。
健全なお付き合いのためには必要なことで、決して恥ずかしがることではないと分かってはいても。
それでも、彼と連れ立って例のものを買いに行くのは恥ずかしかった。
「では、そこで待っていてください」
案の定、明人には恥じらうような気持ちは全くないようだ。
むしろ、詩乃の身を守るために必要なもの、くらいにしか考えていないのだろう。
ドラッグストアの前で待つ詩乃を残して、明人は店内に入っていった。