貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜

 日が暮れる頃。詩乃は、今夜の晩ごはんについて考えていた。

(仕事は大変じゃないけど、ちょっと疲れちゃったな。新しい環境だし、仕方ないか)

 転職してこの街に引っ越して来てから、2ヶ月あまり。

 ここのスーパーには、仕事帰りに毎日のように通っている。

 家の近くにあって便利だし、品揃えも良い。

 転職してから、給料はガクッと下がってしまった。

 かなりの貯金があるから、すぐに困ることはない。とはいえ、なるべく貯金には手をつけたくない。

(前職のときみたいに、外食三昧ってわけにはいかないもんね。自炊できるようになって、節約しなきゃ)

 トップセールスだったときは、飲み会や会食がしょっちゅうあった。

 取引先との関係を深めたり、残業後に部署内で励まし合う飲み会をしたり。

 それも、仕事のうちだったのだ。

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