貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜
がばっと飛び起きて、大きく息をつく。
明人はバクバクと暴れる心臓を抑えながら、枕元の時計を確認した。
午前四時。冬の明け方は、まだ暗い。
「……な、なんて夢を……」
自室のいつもの寝床に、いつも通り一人だ。
明人は少しほっとしながら、重い体をもう一度横たえた。
こんな寒い時期だというのに、全身が汗ばんでいる。
まだ、心臓の鼓動はうるさい。さっきまで見ていた夢が、生々しく瞼の裏に映るようだった。
詩乃と最後に会ってから、少し間が空いていた。
先週は、詩乃が友達との約束があって会えなかったのだ。
ほとんど毎週、なにかしら顔を合わせるようになっていたのに。
会うようになっていたのは、土日だけではない。
平日の夜に一緒に買い物に行き、そのまま食事を作って食べて、のんびりして解散。
そんな穏やかな時間は、もうすっかり生活の一部だった。
たった一週間程度会わなかっただけで、違和感を抱いてしまうほどに。