ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
「うるさい! うるさい! うるさい! うるさい……! 今の公爵はこの俺だ! 貴様など解雇(くび)だ! 今すぐシュナイダー家から出て行けっ」

 勢いよく出口を指さされ、家令はすんと冷静な顔に戻った。
 もう何を言っても届かない。
 そんな諦めの表情で、ポールに一礼をしてから無言で家令は出て行った。

(どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって……!)

 苛立ちで、ポールは飾り棚に並んでいた置物を乱暴に薙ぎ払った。
 陶器が割れる音が響き、益々苛立ちが募っていく。
 何度ケラー侯爵を呼び立てても、病気だなんだといって一向に姿を現さない。
 祖父に救援を要請してみたが、返答は未だなしの(つぶて)だ。

「こうなったのは何かも……アンドレア、お前が死んだせいだ」

 しかも勝手にどこかの男の子供を妊娠し、断りもなく勝手に死んでいったのだ。

(あれだけ良くしてやったのに、こんな裏切りがあるものか)

 どうしようもなく怒りがこみあげてくる。
 シュミット家にいたアンドレアそっくりの女を調べてみたが、エドガーが言うように全くの別人だった。
 一時でも希望を抱かされた分だけ、この怒りも倍増したように感じてしまう。

「俺は国王になる男だ……今に見ていろよ、全員吠え(づら)をかかせてやる」

 家令という右腕を失ってなお、ポールは自身の輝かしい未来を信じて疑わなかった。

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