ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
「ほんとほんと。もしライラ様が先に妊娠しちゃったら、話がややこしこくなっちゃうし」

 好き放題言っているメイドたちに、ライラは唇を戦慄(わなな)かせた。

(お姉様の子はポールの子供じゃないのにっ)

 飛びだして行きたいが、父親の言葉を思い出してなんとかその場に踏みとどまった。

(ポールの子を産むのは、このわたししかいないのよ)

 あのメイドたちにも今に分からせてやる。
 それともポールに頼んで、全員解雇に追い込んでやろうか。
 そんな想像をしていたら、少しはマシな気分になって来る。

「でもさ、旦那様と奥様って何年も寝室を分けて過ごされてたじゃない? いつの間に子作りなんかされたのかしら?」
「あー、それ目撃した人間がいるみたいよ?」
「目撃?」
「ライラ様が屋敷を出て行ったあとにね、夜遅くに旦那様の寝室からアンドレア奥様が出てきたらしいのよ」
「なぁんだ、なんだかんだ言っておふたりは上手くいってたのね。ライラ様が恋の当て馬になってくれたのかしら?」

 下品な笑い声を立てながら、メイドたちは遠退いていく。
 屈辱と怒りに震え、ライラは言葉すら出せなかった。
 ライラがポールと過ごしたあの寝室で、アンドレアはポールを誘惑したというのか。

(アンドレアお姉様……絶対に許さないわ……!)

 身を翻し、ポールの待つ部屋へとライラは一心不乱に駆けて行った。

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