逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。
「エレノアの初恋はフィリップではないのですか?エレノアはそちら側の人だったのですか?エレナ・アーデンが初恋なのですか?」
気の抜けたような感じになったレイモンドが尋ねてきた。

「私、アーデン侯爵令嬢のこと初恋の人と言いましたね。恩人と言おうとしたのです。でも、初恋が正しい気もしてきました。そちら側という表現は適切ではないですよ。アーデン侯爵令嬢に性別など存在しませんから。」
私の言葉に納得していないのか、レイモンドは首をまだ傾げている。

「では、私がアーデン侯爵令嬢と出会った日のことについてお話ししますね。レイモンド、あなたは自分のことしか考えられない人間ですよね。でも、私になりきって話を聞いてください。なぜ彼女に性別が存在しないかが分かるはずです。その日は公女のくせに毎日同じドレスを着ていることを父に怒られ暴力をふられました。私が公爵邸で過ごした4年間は、すでにカルマン公爵家名誉失墜直前の暗黒期です。経済的にも困窮し、ドレスを1着しか買って貰えていませんでした。散々暴力をふったあと、自分の理不尽な行動に気がついたのか父がドレスを買いに行くと言って私を連れて街に出ました。そこでアーデン侯爵家の眩いばかりの母と娘に出会します。自分の娘でもおかしくないエレナ・アーデンに悪態しかつけない父が恥ずかしくて、玩具屋を眺めていたらエレナ・アーデンが店ごと買ってくれました。その豪快さとかっこよさにときめきながら眠りにつくと、起きたらエレナ・アーデンが私を誘拐してくれていたのです。私は驚きのあまりどうして誘拐してくれたのかと尋ねると、あなたが可愛いからよとクールにこたえられました。私の立場で彼女に恋をしないことなどできないことがお分かり頂けたでしょうか」

レイモンドは私の話を聞くと私を抱きしめてきた。

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