逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。
「もう、嘘をつかないと約束をしたら許してあげます。約束しないならば、歩けないという嘘を貫き通すということで王宮内までお運びしますよ」

彼はやはり怒っている様子はなかった、侮辱しても嘘をつかれても怒らないというのは私は怒られるのが怖い人間なのでありがたい。

「あなたに嘘はつかないと、この名に誓います」
彼が私を抱え上げようと膝裏に手を入れてくるので、慌てて私は嘘をつかないと誓った。

「王太子殿下お探ししました。緊急の貴族会議のお時間です」
レイモンドの補佐官が駆け寄ってきて言った言葉に私は思わず彼を見た。

こんなにも国内がざわついている時なのだから、貴族会議が連日開催されているはずだ。
彼はサボる予定だったのだろうか、それとも緊急というから突然決まった会議だったのだろうか。

「私は婚約者と約束があるので欠席します」
レイモンドの言葉に彼が国が有事の時の会議より女を優先させる男だということが分かり失望した。
彼に魅了の力は効かないかもしれないけれど、魅了の力を使ってでも会議に出席させねばならない。

「貴族会議に出席してください」
私は彼の腕を引っ張り、つま先立ちをして彼の耳元で願いを込めて囁いた。

「分かりました。エレノア⋯⋯」
私の髪を撫でながら、微笑んで彼は補佐官と会議へと向かった。
魅了の力が効いたのか、私の言うことを聞いてくれたのか区別がつかなかった。

外を見ると急に雨が激しくなって雷まで聞こえてきて、怖くなった。
侯爵邸に戻るにしても雨が少しおさまるまで、時間を潰したほうがよさそうだと思い私は王宮の図書館に向かった。



< 147 / 182 >

この作品をシェア

pagetop