逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。
「きっと、私の聞き間違えですわね。失礼致しましたわ。でも、誰が聞いているかわかりませんね」
エレナ・アーデンがほくそ笑みながらいう。
いつも私に偉そうにしている父が、自分の娘でもおかしくない年齢の女に翻弄されていて情けなくて見ていられなかった。

私は2人のやり取りから目線を外し、近くにあったおもちゃ屋を眺めながら自分のお店を構えたいと妄想した。
同じ年くらいの子は皆お店屋さんごっこをしたりして遊んでいる。

どうして私は男を誑かすことばかりを教え込まれ、好きなこともさせてもらえないのか。

「可愛いお姫様はこのクマさんが気になるのかしら。それともこの猫さん。私はあなたことを気に入ったから、私にこの大きなお家ごとプレゼントさせてくれる?」

私の心を見透かすように、美しい赤い瞳をしたエレナ・アーデンが私に話しかけてきた。
彼女の言葉に私が頷くと私は店ごとプレゼントされた。

「皇太子殿下のおもちゃが、飽きられて捨てられろ。」
父が彼女に捨て台詞のようなことを叫んだ言葉に思わず笑いそうになる。

その皇太子殿下のおもちゃとして私を献上したくてたまらないくせに何を言っているのか。
エレナ・アーデンは父の言葉を気にも止めず去っていった。

その夜、突然、誘拐された。
眠りについたと思って、目を開けると来たことのない場所にいた。

「アーデン侯爵令嬢、ここはどこですか?」
私は見たことのない部屋に連れてこられていた。
目の前には帝国の絶世の美女エレナ・アーデンがいる。

「ここはサム国よ。あなた魅了の力が使えるのに、隠しているでしょ。どうして魅了の力をコントロールできるか考えたことがある?あなたは誰にも期待しない人間だからよ。子どもの目をしていないわ。人生何回目なのかしら?」

エレナアーデンが黒ずくめの暗殺者のような服を着ている。
これは、夢か何かなのだろうか。

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