逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。
レイモンドは女性関係を整理したらしい。
だからといって過去したことは決して消えることはない。
きっと弄ばれた貴族令嬢からたくさんの恨みをかっていることだろう。

「初めて海を見ました。レイモンドとフィリップ王子殿下の瞳は国王陛下と同じ海色の瞳といわれているから色の予想はついていましたが、これほどに海とは壮大なものだったのですね。」
海とは風が強いものなのか、体を吹き飛ばされそうになって思わず縮こまる。
そんな私をレイモンドが後ろから抱きしめてきた。
「今日は特別に海風が強い日です。穏やかな日もあるのですよ。」
私を覗き込んで微笑みかける彼は今日どんな意図があって、アカデミー授業後の私を引っ張り出したのだろうか。

いつのまにか敷物が、砂浜の上にひかれていた。
そこに座るようにレイモンドにエスコートされる。
座ったと同時にサンドイッチが出てきて私は怖くなり震えあがった。

「お腹がいっぱいで食べられませんわ」
おそらく私のために用意しただろうサンドイッチを前にレイモンドに言う。
私は自分の陣地であるアゼンタイン侯爵邸で彼をもてなすのは良いが、レイモンドの用意した食べ物を口に入れるほど彼を信用できてはいなかった。

食事に毒を入れられたり虫や砂を入れられていたカルマン公爵邸での虐待をされていた日々が蘇えり、震えが止まらなくなってきた。

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